整形外科よもやま話

「骨盤がずれてる」って本当ですか?

「骨盤」をYahooで検索すると、〃骨盤(こつばん、pelvis)は、大腿骨と脊柱の間で体を支える、強固に一体化した一群の骨の解剖学的名称である〃とあります。

その一群の骨の間には仙腸関節を中心に強固な靭帯が取りまき、脊椎と大腿骨の間にも靭帯・筋肉・筋膜などとそう容易に「ずれる」事は考えられない構造になっています。(参考:骨盤の構造を示す例図)

外来に来る患者に「骨盤矯正」などと「施術」「施療」等を受けたとよく聞く事がありますが、矯正を必要とするほど骨盤が「ずれる」などという事が起こっているはずはありません。

大きな外傷・ケガなどで「骨折」「脱臼」や特殊な疾患にかからないかぎり、起こり得るものではありません。

骨盤と脊椎の間には強力な靭帯・結合組織が連携して取り囲んでいます。

周産期に骨盤とその周辺の「靭帯」や恥骨結合のような「結合部」に弛みや軟化が起こって母体を「出産」に備えさせる生理的な事は起こります。しかし、骨盤と脊椎間には起こりません。

あくまでも生理的なものであって、大方の母体は出産を経て戻ってきます。

男性には同じような事は起きません。ですから、矯正や治療を要するようなことは起こりません。

骨盤は脊椎の「土台・基礎」のように、それこそ「強固に一体化して」供に体を支えている骨といえるでしょう。

ただし、脊椎には外傷以外に「ずれること」があります。

いわゆる「辷(すべ)り症」です。

脊椎にも前後左右に強固な靭帯があって、これを支えていますが、年令的にこれらが弛むことがあります。これでキチッと並んでいた脊椎がずれるのです。

これらも「矯正」施術によって戻ったりはしません。

ひどく進行したり、神経症状が発症するなど、必要となれば整形外科的手術を要します。

「骨盤がずれている」などと言われている方は是非整形外科専門医に受診されることをお奨めします。

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